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 >> 夏休みらしく野乃佳さんとオフ会(前編)
 今日は待ちに待った愛しの野乃佳さんとのデートの日です。私がオフで誰かに会うなんてのは初めてのこと。その初めての相手が野乃佳さんだなんて・・・!しかも、わざわざ金沢から東京にご足労を願うわけです。もうどんな交通手段で東京に来るのかさえも気になりますよ。能登空港から飛行機かしら?それとも新潟から上越新幹線?北陸自動車道から車?ヘリ?セスナ?セグウェイ?なんにしても北陸から東京までというのは果てしない距離です。いや、まったく私のために・・・愛されてますね、私。とことん愛しぬかれてます。ちなみに野乃佳さんは女子高生らしいですよ?ねぇ、あなた、女子高生に愛されてるって、ねぇ?ぐぇへへへへ
 待ち合わせは野乃佳さんのご要望で「JR中野駅」ということに。新宿の少し西、23区内でも人口密度トップの住宅地です。まったくあの子ったらこんな人通りの多そうなところで一体なにをさせる気なのかしら・・・あんなことやこんなことやそんなこと・・・ああ!いけねぇ!そんな初対面でそんなことできねえねぇよ!!そんなことしたら確実に実刑判決くらっちまうよ!!そんな妄想を膨らませながら、私は中央線でどんぶらこっこと中野へ駅。ち、ちくしょう、ニヤニヤが止まらねぇじゃねぇか!
JR中野駅 駅のこっち側 駅のあっち側
 曇天の中野駅周辺。しかし、時間帯が時間帯なので、買い物へ行く主婦や学校帰りの高校生で賑わっている。ああ、なんか地元とレベルが違うな・・・下町と都心部じゃこうも違うんかい・・・なにが違うってあんた、かるーく見ただけでも駐輪場の整備がちゃんとできてるわ、緑は多いわ、なによりもこっちの女子高生の方が可愛い子が多・・・いや!いかんぞ!野乃佳さんというものがありながらなんてことを・・・!くそ!このクチか!このクチがそんなことを!!(ずがばきぼこ)そんなこんなでネガティブになりながら、自分を殴りつつ待つこと5分弱。改札付近でほわんほわんしてる女の子が1人。こいつぁまさか・・・!事前に聞いていた通り、白いカーディガンにジーンズ!それに肩にかけるタイプのバッグ!間違いなく野乃佳嬢だ!!もうなにもかも恐れることのない精神を持っている私は、躊躇うことなく声をかける!「あの!野乃佳さんですか!?野乃佳さんですね!?」声がでかすぎてヒかれるとか、そんなことはおかまいなしさ!男は思い切ってゴーよ!ゴー!生まれも育ちも東京下町の私に躊躇なんて言葉はない!虫歯でもカキ氷の2杯や3杯いっちまうぜ!なんならガリガリ君だっていいんd「え・・・?いや・・・違いますけど・・・」
 それから、ノックアウト寸前のボクサー状態で中野駅の改札前で待つこと10分。約束の時間になったと思い、あたりを見回してもそれらしき人物はいない。なんだ・・・なんだこの虚無感は・・・!さっきまでの浮かれ具合がバカみたいじゃないか・・・!ただでさえ待つのは嫌いだっつーのに・・・!ちくしょう・・・ハメられた・・・はぁ・・・地元へ帰ろう、それが一番だ。そして、券売機で帰りの切符を買う。ここまでの往復代金の請求書でも金沢に送りつけてやろうか、などと思いブツブツ言いながら1000円札を手にかけたあたりで、私は不意に肩を叩かれた。「あの・・・そのセンスの悪い服にダサいメガネ、ユーさんですよね?」目の前に正直すぎる天使が舞い降りた。
 さっきまでの荒みきった心はスッカリ晴れやか。おいおい、こいつが石川美人かい?いあ、石川美人なんて今初めて使ったけどね、こりゃーあんた、上出来だよ、野乃佳さん、もうこれだけでご飯3杯いけますよ。とりあえず氏素性も知れぬ若いもん2人がウロウロするのも気持ちが悪いので、改めて軽く自己紹介することに。「どーもはじめまして。最近、親知らずが四隅に発見されて抗生物質依存症のユーです」「あ、はじめまして。最近、ポケモンの映画見に行った野乃佳です」改札前で身分を明かしあう、見た目オッサンと女子高生。どう考えても怪しすぎるので、とりあえず周辺を歩くことに。いや、歩いたって怪しさは変わらないですけどね。そこで今回のテキトーな流れを説明。「東京のちょっと良さげなところをみんなにアピールするんだぜ!」という広報的なオフであることも告知。怪訝そうな顔をする野乃佳さんの頬をぐにぐにやって無理矢理了承させたのもいい思い出です。
中野サンプラザ でけぇな、サンプラザ なんだこれ
 しばらく歩きつつ雑談も交え交え。サンプラザでけぇな!とか、グリーンアドベンチャー!?とか、風呂場のヌメり取りには何がいいかとか執事喫茶が池袋にあるだとか、野乃佳さんのあんなことやこんなことやそんなこと。次第に雰囲気もフランクな感じに。時間を重ねるだけでそれなりに仲睦まじくもなるもんですね・・ふははは、このままいけば6時ぐらいには・・・ぐぇへへへへへ
 だがここでひとつ疑問が頭をよぎる。なんで中野なんだ?中野なんて微妙すぎるスポットに一体なにが?あるのは商店街とかそんなもんだし・・・中野だからって中野美奈子がいるわけでもないし・・・いったいなにが彼女をここに呼び寄せたんだ!?「そーいや、なんで中野なの?原宿とか代官山のほーがオサレで東京っぽいじゃない?」「あー、中野ブロードウェイってのに行ってみたくてですねー、それでですよ」ああ、なるほど。お目当ての物件があるわけですね。でもなんですかそれ。ミュージカルですか。キャッツですか?劇団四季ですか?ブロードキャストの親戚ですか?「まぁ・・・とりあえず行きますよ!」妙に顔を晴れやかにして、声をはずませる。そ、そんなに魅力的なのか、ブロードウェイ・・・!意気揚々と歩く凸凹コンビ。はたして女子高生と夢のウハウハは成功するのだろうか。すべてはまだ見ぬ中野ブロードウェイ次第だ。(つづく)

070722

「夏休みらしく野乃佳さんとオフ会」(後編)

ほーむ


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